不動産登記の意義と種類

登記とは

登記(登記簿)とは、不動産の概要と、その不動産の物権変動の事実およびその内容が時系列で記録された帳簿のことで、国家によって作成されます。

登記という言葉は、実務上「登記してください」といったようにその行動を指すために使われる場合や「登記を見せてください」といったように物を指すために使われる場合がありますが、上記は物を指している場合の登記の定義です。正確には、登記簿といわれます。

そして、登記簿は、原則として、一筆(土地の数をカウントする時の単位と考えてください)の土地または一戸の建物ごとに作成されます。

そして、この登記簿は、不動産の概要やその不動産の物権変動の事実およびその内容をシステムに入力することによって作成されます。この登記を行うのは登記官です。登記官は、国家公務員採用試験に合格した登記の専門家です。日本で最も登記のことを熟知した方々です。

そして、登記手続は、司法書士(代理申請の場合)や不動産の取引を行った者・不動産に権利を有している者(本人申請の場合)によって行われます。

登記簿の構成

土地および建物

登記簿は表題部権利部に分かれており(不動産登記法12条)、権利部は甲区乙区に分かれています(不動産登記規則4条4項)。

表題部には、表示に関する登記(表示登記)がされる部分で、権利部には権利に関する登記がされる部分です。

そして、権利部の甲区は所有権に関する登記がされる部分で、乙区は所有権以外の権利に関する登記がされる部分です。

建物の登記簿の例を図に示してみました。

登記

登記がされる順序としては以下の通りです。

  1. 表示登記
  2. 権利に関する登記(区)における所有権保存登記
  3. 権利に関する登記(区)

区分所有建物

区分所有建物の典型例は、一棟のマンションです。詳しくは区分所有法のところを参照してください。以下、一棟のマンションを例に説明していきます。

マンションは一棟の建物として存在しますが、その中に一つ一つの部屋があります。この一つ一つの部屋のことを専有部分といいます。マンションを売り買いしたことのある方は分かると思いますが、この専有部分は独立した取引の対象となります。

区分所有建物が登記される手順
1. 敷地に関する登記

マンションを利用するためには敷地利用権が必要なので、その土地が各区分所有者の共有である場合、敷地となる土地の登記簿の権利部に所有権の登記がされます。この登記によって、各区分所有者の敷地利用権は、敷地権となります。敷地権とは、登記された敷地利用権のことをいいます。

2. 建物に関する登記

次に、各専有部分の登記記録の表題部に、この建物の敷地利用権は敷地権であることを示す登記がされます。この登記のことを、敷地権についての表示の登記といいます。

3. 敷地に関する登記

再び、敷地となる土地の権利部に、この土地は敷地権の目的となったことを示す登記がされます。この登記のことを、敷地権である旨の登記といいます。

これら3つの登記を経ることによって、専有部分と敷地権がひもづけられ、以後専有部分についての登記をすれば、土地についての登記をする必要がなくなります。

区分所有建物の登記

例えば、一筆の土地に、三戸の専有部分がある一棟のマンションが建っている場合を考えてください。三戸のそれぞれの所有者はA・B・Cだとします。この場合、一つの敷地に対して3個の敷地利用権が存在することになります。なぜなら、専有部分を使用するためには敷地利用権が不可欠だからです。この敷地利用権の具体例としては、所有権や借地権などがあります。

まず、三戸の専有部分の所有者の敷地利用権が、所有権である場合は、その土地がA・B・Cの共有であることを示す登記がされます。

敷地の登記(1回目)

これによって、A・B・Cの敷地利用権は敷地権となります。

次に、A・B・Cのそれぞれの専有部分の登記簿に、この専有部分の敷地利用権は敷地権であることを示す登記がされます。

建物の登記

最後に、敷地である土地の登記簿に、その土地が敷地権の目的になった旨の登記がされます。

敷地の登記(2回目)

これら3つの登記によって、敷地権は専有部分と一体化することになるので、建物の登記だけ行うだけで、土地の登記をする必要がなくなります。例えば、専有部分の所有者であるAが、専有部分をDに売却した場合、専有部分について所有権移転登記をしておけば、敷地権の移転にも対抗力が生じることになります。

なので、専有部分と敷地権を分離処分する登記は、原則として許されません。ただし、土地が敷地権の目的となる前に既に登記原因が生じていた場合には、例外的に登記できます。

 

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