復代理
復代理とは
復代理とは、代理人が、ある者をさらに代理人として選任し、その代理権の範囲内の行為を行わせることです。代理人により選任された代理人を復代理人といい、復代理人は代理人の代理人ではなく、あくまで本人の代理人です。
よって、復代理人による行為の効果も、直ちに本人に帰属します。
復代理人の選任
復代理人の選任ができる場合は、任意代理と法定代理とでことなります。
任意代理の場合
任意代理人は本人によって選任されていることから、代理人が勝手に復代理人を選任するのは本人の意思に反する。よって、原則として復代理人を選任できません。
しかし、以下のいずれかに該当する場合は、代理人は復代理人を選任することができます(104条)。
- 本人の許諾を得た場合
- やむを得ない事由がある場合(代理人が交通事故にあって入院した場合など)
104条 委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、またはやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない。
そして、代理人が復代理人を選任したときは、その選任および監督について、本人に対してその責任を負います(105条1項)。
105条1項 代理人は、前条の規定により復代理人を選任したときは、その選任および監督について、本人に対してその責任を負う。
法定代理の場合
法定代理における代理人は、本人によって選任されているわけではないので、任意代理の場合と異なり、本人の意思を尊重すべき要請が働きません。
よって、代理人は、自己の責任で自由に復代理人を選任することができます。ただし、あくまで自己責任なので、代理人は復代理人の行為の結果について、原則として全責任を負わなければなりません(106条)。
しかし、やむを得ない事由により復代理人を選任した場合は、その選任および監督について、本人に対してその責任を負います。
106条 法定代理人は、自己の責任で復代理人を選任することができる。この場合において、やむを得ない事由があるときは、前条第一項の責任のみを負う。
復代理人の権限
復代理人は、本人の代理人なので、本人および第三者に対して代理人と同一の権限を持ちます(107条)。ただし、あくまで復代理なので、その代理権は代理人の範囲に限られ、代理人の代理権が消滅すれば、復代理人の代理権も消滅します。
なお、代理人が復代理人を選任しても、代理人の代理権が消滅することはありません。
107条1項 復代理人は、その権限内の行為について、本人を代表する。
2項 復代理人は、本人および第三者に対して、代理人と同一の権利を有し、義務を負う。
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