時効制度の意義と種類

時効制度の意義

時効とは、真実の権利関係と異なる事実状態が長期間継続した場合、その事実状態を尊重して権利関係を認める制度です。

時効制度が存在する理由は、以下の3つと考えられています。

  1. 長期間継続した事実状態を尊重することによって、法律関係全体の安定を図ることができるから
  2. たとえ真実の権利者であっても、「権利の上に眠る者」は法的保護に値しないから
  3. 時の経過によって、本来あるべき状態と実際にある状態のいずれが正しいかの判断が困難になるため

時効制度の種類

時効には、取得時効と消滅時効があります。

取得時効

取得時効とは、権利者らしい権利行使の外観が一定の期間継続することによって、その外観を備えている者に権利取得の効果を生じさせる制度のことです。

取得時効の対象となる権利は、所有権の他に、地上権、地役権、永小作権などの用益物権です(162条、163条)。一方、債権について、賃借権を除いて、取得時効の対象ではありません。

消滅時効

消滅時効とは、権利を行使していない状態が一定の期間継続することによって、権利が消滅してしまうという効果を生じさせる制度のことです。消滅時効の対象となる権利は、債権や用益物権です(167条)。

もっとも、所有権は絶対に消滅時効にかかりません(167条2項)。なぜなら、民法の構造で説明した通り、民法では、所有権は物に対する排他的支配権であり、絶対性という性質を有する強力な権利として位置づけられているので、時効制度においても特別に扱われているわけです。

他人による所有権の取得時効が成立した結果、所有権を失うことはありますが、これはあくまでも他人が所有権を時効取得したことによる反射的効果に過ぎず、所有権が消滅時効にかかっているわけではありません。

 

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