買戻し特約
買戻しの特約とは
買戻しの特約とは、不動産の売買契約において、売主が将来買主が支払った代金及び契約の費用を返還することによって、その目的物を買い戻すことができる旨を約する当時者間の特約のことです。買戻しは、不動産の所有者が他人から金銭を借り入れる場合に行われ、対象となる不動産が担保としての役割を果たしています。
例えば、AがBからお金を借りる際に、その債務を弁済すれば目的物を買い戻すことができるという特約付きでAからBに建物を売却する場合が考えられます。
579条前段 不動産の売主は、売買契約と同時にした買戻しの特約により、買主が支払った代金および契約の費用を返還して、売買の解除をすることができる。
ちなみに、買戻権は、売主が買主に意思表示をすることによって行使されます。
そして、この特約は、売買の所有権移転登記に付記して登記(付記登記)することによって、第三者に対抗することができます。
買戻し特約の要件
買戻しは、以下の場合にのみ有効となります。
買戻しの特約は、売買契約と同時にしなければなりません(579条前段)
買戻しの際、もとの売主から買主に返還すべき金銭は、当初の売買代金に契約費用を加えた額を超えることができません(579条前段)。
そして、不動産の果実と代金の利息は、相殺したものとみなされます(同条後段)。
579条後段 この場合において、当事者が別段の意思を表示しなかったときは、不動産の果実と代金の利息とは相殺したものとみなす。
買戻しがなされると、売買契約が解除された形になるので、本来であれば、売主と買主は原状回復義務を負うことになります。すなわち、売主は、受け取った代金に利息を付した金額を返還する義務を負い、買主は、目的物の使用収益分を返還する義務を負うことになります。しかし、わざわざこれらの義務を売主・買主に履行させても、同じ金額が行き来するだけで煩雑なので、両債務は相殺されたものとみなすことにしたわけです。
買戻しの期間は、10年を超えることができず、これを超える期間を定めても10年に短縮されます(580条1項)。また、買戻しについて期間を定めたときは、その後にこれを伸長することができません(同条2項)。買戻しについての期間を定めなかったときは、5年以内に買い戻さなければなりません(同条3項)。
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