区分所有建物の管理

区分所有建物の管理については、区分所有者が集会の決議によって定めることになっています。

決議の方法

原則

共用部分の管理に関する事項は、原則として、区分所有者の集会で区分所有者(頭数)および議決権(専有部分の床面積の割合(38条)の各過半数によって決定することができます(区分所有法18条1項本文、39条1項)。ただし、保存行為に関しては、各共有者が単独ですることができます(18条1項ただし書)。

なお、これらについては規約で別段の定めをすることができます(18条2項)。

議決権は、書面や電磁的方法(例えば、メールなど)だけでなく、代理人によっても行使することができます(39条2項3項)。

専有部分が共有に属するときは、共有者は、議決権を行使すべき者を一人定めなければなりません(40条)。

例外

以下の場合は、例外です。

集会の招集・・・1/5以上

集会は、管理者によって招集されます(34条1項)。管理者は少なくとも毎年1回は集会を招集しなければなりません(同条2項)。

集会の招集は、区分所有者(頭数)の5分の1以上であって、議決権の5分の1以上を有する者は、管理者に対して、会議の目的である事項を示して、集会の招集を請求することができます(同条3項)。

なお、頭数と議決権の決議要件は緩和ことができます。

共用部分の重大な変更・・・3/4以上

共用部分の重大な変更をするためには、区分所有者(頭数)および議決権の4分の3以上の賛成が必要です(17条1項本文)。ただし、頭数のみ過半数まで決議要件を緩和することができます(同条1項ただし書)。

ただし、軽微な変更・重大な変更問わず、共用部分の変更の結果、専有部分の使用に特別の影響が出る場合は、その影響を受ける専有部分の所有者の承諾が必要です。例えば、非常階段を設置するという変更を行う場合に、その非常階段によって窓を塞がれてしまう専有部分の所有者の承諾を得る必要があります。

規約の設定・変更・廃止・・・3/4以上

規約とは、区分所有建物を使用するに当たって守るべきルールのことです。

分譲前は、分譲業者が公正証書によって規約を設定します。

分譲後に、この規約を設定・変更・廃止するためには、区分所有者(頭数)および議決権の4分の3以上の賛成が必要です(31条1項前段)。なお、規約の設定・変更・廃止が、一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすときは、その者からの承諾を得る必要があります(同条1項後段)。

管理組合の法人化・・・3/4以上

管理組合とは、区分所有者が、全員で、建物や敷地、付属施設の管理を行うための団体です(3条前段)。この管理組合は、あくまでも任意の団体で法人格がないので、組合の名義で登記をすることができません。そこで、一定の要件を満たせば、管理組合を法人化することができます。

その要件は以下の2つです(47条1項)。

  1. 区分所有者(頭数)および議決権の4分の3以上の賛成を得ること
  2. 管理組合の主たる事務所の所在地で登記をすること
建替え・・・4/5以上

区分所有建物を建て替えるためには、区分所有者(頭数)および議決権の5分の4以上の賛成が必要です(62条1項)。

決議・規約の効力

規約や集会の決議の効力は以下の者に及びます。

  1. 区分所有者の包括承継人
  2. 区分所有者の特定承継人
  3. 専有部分の占有者(例えば、区分所有者から専有部分を賃借している者です)

上記の者に及ばなければ、決議・規約を定める意味がなくなってしまうからです。

 

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