民法とは
民法とは
ここでは、民法の最も基本的な点を解説していきたいと思います。
私人との間では、原則として自由に契約を締結することができます。これを私的自治の原則(契約自由の原則ともいいます)といいます。
これが民法の最も根本的な考え方の一つなので、覚えておきましょう。ちなみに、私人とは人間一人一人のことだと考えてOKです。
そして、一度私人間で契約をすると、契約をした当事者には権利義務が生じることになります。
例えば土地の売買契約(民法555条)だと、売主には土地を買主に引き渡す義務が生じる一方で、買主に土地の代金を支払ってもらう権利が生じます。
そして、買主には売主に土地の代金を支払う義務が生じる一方で、売主に土地の引渡しを請求する権利が生じます。
555条(売買)
売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
ここで注意すべきは、売買契約において義務を負担するのは必ずしも買主だけではないということです。
今回の売買契約であれば、代金か土地どちらに着目するかによって、権利者と義務者がひっくり返ることになるので、問題を検討する時に、これについてはどっちが権利者なのか?義務者なのか?という点をしっかりと見極めることが大切です。
契約をした売主(買主)は、買主(売主)が代金支払義務(土地引渡義務)を履行しない時はその義務の履行を求める訴訟を提起して判決を得て、その判決に基づき強制執行をして買主(売主)の義務を強制的に実現することができます。
つまり、契約をした以上は責任をもってその義務を履行しなさいというのが民法の考え方です。
一方、権利に関しては無理に主張する必要はありません。訴訟を起こすのも本人の自由であり、本事例でいえば、わざわざ裁判所が売主に「この土地の代金が支払われていないから訴訟を起こした方がいいんじゃないですか?」と連絡することはありません。
ちなみに、このような代金支払義務や土地引渡義務は、あくまで民法上の義務なので、たとえ履行を怠っても刑事責任を負うことはありません。刑事責任を課されるのは、刑法やその他の特別法(例えば、覚せい剤取締法などがあります)で規定された行為を行った場合だけです。
これらは、民法を理解する上で重要な考え方なので覚えておいてください。
このように私人間では、当事者の意思に基づいていれば、原則として自由に契約をすることができます。
しかし、どんな契約でも自由に締結できることになれば、場合によっては、一方当事者の人権が著しく害されることになってしまいます。
そこで、私人間で締結される契約について、あらかじめ一定の決まりごとを定めておく必要があります。
その決まりごとを定めているのが民法です。
まとめると・・・
- 私人間では原則として自由な契約を締結することができる(私的自治の原則)。
- そして、契約を締結した以上は、契約をした当事者は契約上の義務を負う。
- ただし、権利を行使するかどうかは権利者の任意である。
- しかし、なんでもかんでも自由に契約できるわけではなく、最低限、民法に定められた規定に従わなければならない。
このことを理解しておけば、今後の民法の学習に大きく役立ちます。ぜひ、覚えておいてください。
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