更新されない借家権
背景
借地借家法は借主を保護するために、存続期間や借家権の更新において、借主に有利な規定がなされています。
しかし、建物の所有者である賃貸人の事情も考慮する必要があります。そこで、借地借家法では、更新されない借家権を設定することを認めています。
更新されない借家権
更新されない借家権には、以下2つのタイプがあります(借地借家法38条1項、39条1項)。
存続期間 | 契約の要式 | |
---|---|---|
定期建物賃貸借 | 制限なし | 公正証書等の書面で契約しなければならない |
取壊し予定建物の更新しない賃貸借 | 制限なし | 公正証書等の書面で契約しなければならない |
賃貸人は、契約締結前に、賃借人に、賃貸借は期間の満了により終了し、更新もないことについて、書面を交付して説明しなければなりません。賃貸人がこの説明をしていなければ、更新がないという特約が無効となります。
存続期間が1年以上の場合は、賃貸人は、期間の満了の1年前から6カ月前までの間に、賃借人に対して、期間の満了により賃貸借契約が終了することを通知しなければ、期間満了による終了を賃借人に対抗することができません。
賃貸人がこの通知をしないで期間を経過してしまった場合は、期間経過後に通知をすれば、その通知をした日から6カ月経過後に賃貸借が終了することになります。
床面積が200㎡未満の居住用の建物に関する特則
なお、賃貸借の目的物が床面積が200㎡未満の居住用の建物である場合は、やむを得ない事情により、賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することができなくなったときは、賃借人は解約を申し入れることができ、解約を申し入れた日から1カ月を経過すると賃貸借契約は終了します(38条5項)。
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