借家権の終了を転借人に対抗できる場合・できない場合
建物の賃借人が賃貸人の承諾を得て、その建物を転借人に転貸した場合において、賃貸人・賃借人間の賃貸借が以下の事由により終了した場合、賃貸借の終了を転借人に対抗することができるでしょうか。
以下、それぞれについて見ていきたいと思います。
賃貸借が合意解除により終了した場合
賃貸人・賃借人間の賃貸借が合意解除により終了しても、賃借人(転貸人)・転借人間の転貸借は終了しません。なぜなら、賃貸人・賃借人の自由な意思によって、転借人が建物を借り続けられるかどうかが左右されるのは、転借人に酷だからです。
賃貸借が解約申入れにより終了した場合
賃貸人・賃借人間の賃貸借が解約申し入れによって終了しても、賃貸人は、賃貸借の終了を転借人に対抗できません。ただし、賃貸人が転借人に対して終了通知をすれば、その通知のときから6カ月を経過した時に賃借人(転貸人)・転借人間の転貸借も終了します(34条)。
34条 建物の転貸借がされている場合において、建物の賃貸借が期間の満了または解約の申入れによって終了するときは、建物の賃貸人は、建物の転借人にその旨の通知をしなければ、その終了を建物の転借人に対抗することができない。
2項 建物の賃貸人が前項の通知をしたときは、建物の転貸借は、その通知がされた日から6月を経過することによって終了する。
しかし、賃貸人の終了通知があったにもかかわらず、転借人が建物の使用を継続した場合には、賃貸人が遅滞なく異議を述べない限り、賃貸人・賃借人間の賃貸借が更新されてしまいます。
この場合は、転貸借は賃貸借を基礎として成立しているので、その賃貸借が終了した以上、転貸借も終了することになっています。ただし、賃借人による建物の継続使用による更新が認められているので、転借人が建物を継続的に使用した場合も、更新が認められています。
賃貸借が債務不履行解除により終了した場合
賃貸人・賃借人間の賃貸借が賃借人の債務不履行解除によって終了した場合は、賃貸人から転借人への終了通知がなくても、賃借人(転貸人)・転借人間の転貸借も終了します。この場合は、一定の落ち度がある賃借人から転借した転借人よりも、賃貸人を保護する必要性が高いので、転貸借が終了することになっています。
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