借地借家法の概要

借地借家法の趣旨

民法上では、貸主と借主は対等の立場であることを前提に規定されていますが、実際には貸主は借主よりも強い立場にあることが多いです。

そこで、民法の規定を修正して、借主を保護するために制定されたのが借地借家法という法律です。

借主に不利な特約は無効

原則

民法上では、私的自治の原則から、賃貸借契約において自由に特約を設定することができますが、借地借家法上では、借主に不利な特約は無効となります。この規定は強行規定なので、特約で排除することはできません。一方、借主に有利な特約であれば、借主の権利が不当に害されるおそれはないので、有効です。

例外

借主に不利な特約をすることができる場合があり、それは以下の2つです。

  1. 借主に造作買取請求権を行使させない特約
  2. 相続人がいない居住用建物の賃借人が死亡した場合に、その賃借人の同居人に賃借権を承継させない特約

今はこういう例外があるんだなとだけ知っておいてください。ざっと眺めておくだけで十分です。内容は該当箇所で詳しく説明します。

借地借家法が適用される場合・適用されない場合

借地借家法は、建物の所有を目的とする地上権および土地の賃借権、建物の賃借権に適用されます(借地借家法1条)。

1条 この法律は、建物の所有を目的とする地上権および土地の賃借権の存続期間、効力等ならびに建物の賃貸借の契約の更新、効力等に関し特別の定めをするとともに、借地条件の変更等の裁判手続に関し必要な事項を定めるものとする。

なお、建物の所有を目的とする地上権および土地の賃借権のことをまとめて借地権といいます(借地借家法2条1号)。そして、この借地権を設定してもらう者のことを借地権者といい、借地権を設定する者のことを借地権設定者といいます(2条2号3号)。

2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の定義は、当該各号の定めるところによる。
1号 借地権 建物の所有を目的とする地上権または土地の賃借権をいう。
2号 借地権者 借地権を有する者をいう。
3号 借地権設定者 借地権者に対して借地権を設定している者をいう。

一方、借家権とは、借地借家法の適用を受ける建物の賃借権のことです。

そして、この借地権と借家権に適用される法律が借地借家法というわけです。

借地借家法が適用されないのは、以下のものです。

  • 一時使用目的の賃借権(25条)
  • 旧借地法・借家法が適用される場合

借地借家法は、平成4年8月1日に施行されており、実は結構新しい法律なのです。そして、旧借地法・借家法は、今の借地借家法よりも借主を保護していた法律だったので、旧借地法・借家法のもとで締結された契約については、借地借家法ではなく、旧借地法・借家法が適用されることになっています。

 

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