消滅時効
債権の消滅時効
通常、債権の消滅時効の期間は10年です(167条1項)。ただ、特定の債権については、短期の消滅時効が規定されています(169条〜174条)。しかし、このような債権でも確定判決を得れば、消滅時効期間は10年となります。
167条1項 債権は、十年間行使しないときは、消滅する。
債権以外の財産権の消滅時効
債権以外の財産権の消滅時効の期間は、20年です(167条2項)。債権以外の財産権には、地上権や地役権、永小作権があげられます。
167条2項 債権または所有権以外の財産権は、二十年間行使しないときは、消滅する。
以下の権利は消滅時効に係りません。
- 所有権
- 占有権
- 留置権
- 先取特権
質権・抵当権は被担保債権と別に消滅時効にかかりませんが、抵当権の場合は、396条の特則があります。
396条 抵当権は、債務者および抵当権設定者に対しては、その担保する債権と同時でなければ、時効によって消滅しない。
すなわち、この規定を反対解釈すると、第三取得者やその他の債権者との関係では、被担保債権自体が消滅時効にかからない間でも、独立して消滅時効にかかるということになります。
消滅時効の進行開始時期
消滅時効は権利を行使できるときから進行します。なので、具体的な進行開始時期は債権の種類によって異なります。
確定期限の定めのある債権
確定期限付の債権の消滅時効は、期限が到来した時から進行します。例えば、2015年5月10日が履行期となっている金銭債権の消滅時効は、5月10日から進行します。そして、その債権は、時効が中断されない限り、2025年5月10日に時効消滅します。
不確定期限の定めのある債権
不確定期限付の債権の消滅時効は、期限が到来した時から進行します。例えば、A・B間において、金銭債権の弁済期をBの父親が死亡した時と定めていた場合は、その金銭債権の消滅時効は、Bの父親が死亡した時から進行します。
条件付の債権
条件付の債権の消滅時効は、条件が成就した時から進行します。例えば、A・B間において、Bが大学に合格したらAがBに建物を贈与する契約をしている場合は、BのAに対する建物の引渡請求権の消滅時効は、Bが大学に合格したときから進行します。
期限の定めのない債権
期限の定めがない債権の消滅時効は、直ちに(つまり、債権が成立して直ちにということです)進行します。例えば、AがBにお金を貸しその弁済期を定めなかった場合は、AのBに対する金銭債権は、A・B間の金銭消費貸借契約が成立した時から進行します。
不法行為債権
不法行為債権の消滅時効は、被害者が加害者および損害を知った時から進行します。
履行遅滞の起算点との違いを表でまとめました。この違いはよく出題されるので、完璧に覚えましょう。
消滅時効の起算点 | 履行遅滞の起算点 | |
---|---|---|
確定期限の定めのある債権 | 期限が到来した時 | 確定期限が到来した時 |
不確定期限の定めのある債権 | 期限が到来した時 | 債務者がその期限の到来を知った時 |
条件付の債権 | 条件が成就した時 | 条件が成就した後に債権者が履行の請求をした時 |
期限の定めのない債権 | 直ちに(すなわち、債権成立時) | 債務者が履行の請求を受けた時 |
不法行為債権 | 被害者が加害者および損害を知った時 | 不法行為時 |
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