地代・賃料の変更

借地権

借地権の存続期間は、最低でも30年なので、その間に物価変動により、地代が不相当な金額になってしまうことがあります。

物価が不相当な金額になったときは、借地権設定者・借地権者あ、それぞれ地代の増額・減額を請求することができます(借地借家法11条1項)。借地権設定者と借地権者との間で話がまとまればそれでいいのですが、賃貸人・賃借人の間で協議が調わないときは、裁判をすることになります。

11条1項 地代または土地の借賃(以下、地代等という。)が、土地に対する租税その他の公課の増減により、土地の価格の上昇もしくは低下その他の経済事情の変動により、または近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって地代等の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間地代等を増減しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。

裁判になった場合

裁判になった場合は、裁判の間の賃料は、借地権者が相当と認める額の地代を支払えばよいです(同条2項本文)。一方、借地権設定者は、相当と認める額の地代を請求することができます(同条3項本文)。

既に支払った地代に不足がある場合

裁判借地権者は、その不足額に年一割の利息をつけた金額を借地権設定者に支払わなければなりません(同条2項ただし書)。

例えば、Aが、Bのために借地権の設定をして賃料が月10万円であったが、その後、Aが賃料の増額請求(15万円)をし、AB間の協議が調わず裁判になった場合、Bは、裁判が終わるまでAに対して月10万円の賃料を支払えばよいです。しかし、その1年後に裁判が確定し、Aの請求が認められた場合、BはAに対して66万円(=60万円+60万円×10/100)を支払う必要があります。

支払を受けた地代の額が裁判で正当とされた地代の額を超える場合

借地権設定者は、その超過額に年一割の利息をつけた金額を借地権者に返還しなければなりません(同条3項ただし書)。

例えば、Aが、Bのために借地権の設定をして賃料が月10万円であったが、その後、Bが賃料の減額請求(7万円)をし、AB間の協議が調わず裁判になった場合、Aは、裁判が終わるまでBに対して月10万円の賃料を請求することができます。しかし、その1年後に裁判が確定し、Bの請求が認められた場合、AはBに対して39万6千円(=36万円+36万円×10/100)を返還する必要があります。

11条2項 地代等の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の地代等を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年一割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。
3項 地代等の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の地代等の請求をすることができる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた地代等の額を超えるときは、その超過額に年一割の割合による受領のときからの利息を付してこれを返還しなければならない。

借家権

なお、借家権についても同様の規定がされています(32条)。目的物が変わるだけで、他は同じなのでここでは割愛します。

 

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