不動産の取引には手数料がかかる!?

仲介手数料とは?

不動産の売買・賃貸借を行うといっても、不動産が取引される機会は限られ、取引金額も大きくなりがちなので、希望に合った取引相手を探すことが難しいです。

そこで、不動産を取引したい人々がすぐに取引相手を見つけるために重要な役割を果たしているのが、不動産会社です。不動産会社は別名名簿屋ともいわれているほど、多くの顧客名簿や不動産情報を保有しています。不動産会社は、そうした情報量を売りに、不動産取引をしたい者の間に立って取引を成立させるという重要な役割を果たしています。

このように、不動産を取引する者は、不動産会社の情報量や仲介業務によって恩恵を受けているので、不動産会社に報酬を支払うことになります。これが仲介手数料です。

なお、仲介手数料は成果報酬なので、不動産会社が不動産取引を成立させることができなければ、不動産会社に仲介手数料を支払う必要はありません。

仲介手数料の金額

それでは、不動産取引が成立した場合、不動産取引を行っている者は、どれくらいの手数料を支払う必要があるのでしょうか。

仲介手数料の金額は、宅地建物取引業法(以下、宅建業法)で定められています(宅建業法46条)。不動産業者は宅建業法で定められた金額以上の仲介手数料を受け取ることはできません。もし受け取れば、1年以内の業務停止処分を受ける可能性があります。

第46条(報酬)

1. 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買、交換又は貸借の代理又は媒介に関して受けることのできる報酬の額は、国土交通大臣の定めるところによる。

2. 宅地建物取引業者は、前項の額をこえて報酬を受けてはならない。

3. 国土交通大臣は、第1項の報酬の額を定めたときは、これを告示しなければならない。

4. 宅地建物取引業者は、その事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、第1項の規定により国土交通大臣が定めた報酬の額を掲示しなければならない。

それでは不動産会社が受け取ることができる報酬の限度額はいくらでしょうか。

その金額は、取引形態や取引金額によって異なるので、以下場合分けして説明したいと思います。

売買の媒介

売買の媒介とは、不動産の売主と買主の間に立って売買の仲立ちをすることです。媒介には一般媒介・専任媒介・専属専任媒介の種類がありますが、詳しい説明はここでは割愛します。

例えば、売主Aが買主Bに3,000万円の土地を売却する場合に、不動産業者CがAとBの間に立って売買契約を成立させることが媒介です。

売買の媒介の場合の手数料は、不動産の取引によって変動し以下の通りとなります。

不動産の売買価額 報酬の限度額
200万円以下 売買価額×5%
200万円超400万円以下 売買価額×4%+2万円
400万円超 売買価額×3%+6万円

上記の例だと、不動産業者Cが受け取ることのできる報酬限度額は、96万円です。なお、この報酬限度額は、当事者の一方(AまたはB)から受け取ることのできる報酬の上限です。不動産業者が売主・買主双方から媒介の依頼を受けていれば、売主・買主双方からこの報酬限度額を受け取ることができます。よって、不動産業者Cは、Aに対して最高96万円、Bに対しても最高96万円の報酬を請求することができます。

売買の代理

売買の代理とは、媒介と異なり、売主または買主一方のためにすることを示して売買契約の締結をすることです。民法上、双方代理をすることはできない(民法108条)ので、代理の場合はいずれか一方のためだけに代理をすることになります。

民法108条(自己契約および双方代理)

同一の法律行為については、相手方の代理人となり、または当事者双方の代理人となることはできない。ただし、債務の履行および本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。

例えば、売主Aが買主Bに3,000万円の土地を売却する場合に、不動産業者CがAを代理してBと売買契約を締結するならば、CはBを代理することはできません。

不動産業者が売買の代理をした場合の報酬限度額は、媒介をした場合の2倍の金額となります。

ただし、原則として代理をした当事者からしか報酬をもらうことができません。相手方の承諾があれば相手方から報酬をもらうこともできますが、この場合、代理の報酬限度額(媒介の場合の2倍の金額)を超えることはできません。

今回の例の場合は、CはAから最高192万円の報酬を受け取ることができます。ただし、Bの許諾があれば、Bからも報酬を受け取ることができますが、この時AおよびBから受け取る報酬の合計額が192万円を超えてはいけません。

不動産の売買価額 報酬の限度額
200万円以下 (売買価額×5%)×2
200万円超400万円以下 (売買価額×4%+2万円)×2
400万円超 (売買価額×3%+6万円)×2

交換の媒介・代理

交換の媒介・代理の場合も、交換される双方の不動産の価額が同一である限り、売買と同様に考えます。

交換される双方の不動産の価額が異なる場合は、高い方の金額を基準に報酬限度額が計算されます。

例えば、Aの土地(3,000万円)とBの土地(2,500万円)を交換する契約を不動産業者Cが媒介した場合、3,000万円を基準に報酬限度額が計算されます。

3,000万円×3%+6万円=96万円

この場合、不動産業者Cは、Aに対して最高96万円、Bに対しても最高96万円の報酬を請求することができます。

売買交換で課税される場合

建物の売買・交換については消費税が課税されます。消費税課税業者に対しては報酬額×1.08、消費税免税業者に対しては報酬額×1.04の金額の報酬を支払うことになります。

なお、土地の売買・交換については非課税です。

賃貸の媒介

賃貸人と賃借人の双方から受け取ることのできる報酬の限度額は、1カ月分の賃料分です。

例えば、不動産業者Cが、賃貸人Aと賃借人Bの土地の賃貸借契約(賃料10万円)を媒介した場合、CがAおよびBから受け取る報酬の合計額は10万円です。この時、CはAだけから10万円とってもよいですし、Bだけから10万円とっても問題ありません。ただし、居住用建物の場合は、双方から賃料の半分ずつ受け取ることになっていますが、当事者の承諾があれば変更することができます。実務上は、借主が全額負担する契約となっていることが多いです。

賃貸の代理

代理の場合は、代理した当事者の一方から賃料1カ月分を限度とした報酬を受け取ることになります。なぜならば、民法上、双方代理をすることはできないからです。

代理をしていない当事者(相手方)からは報酬を受け取れないのが原則ですが、相手方が許諾した場合は、相手方からも報酬を受け取ることができます。もちろん、当事者双方から報酬を受け取った場合も、1カ月分の賃料という報酬限度額を超えてはいけません。

 賃貸で課税される場合

非居住用建物の賃貸については消費税が課税されます。

消費税課税業者に対しては報酬額×1.08、消費税免税業者に対しては報酬額×1.04の金額の報酬を支払うことになります。

なお、居住用建物と土地の賃貸については非課税です。

 

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