知らないと損する!?ローン特約のはなし
ローン特約とは
住宅ローンの審査が通ることを条件に不動産が売買される場合があります。その条件のことを、ローン特約といいます。
ローン特約つき売買契約は、民法的には、住宅ローンが通るという停止条件がつけられた売買契約ということができます。
住宅ローンとは
住宅ローンを申し込むと、通常は申込者に関する審査が行われます。
どんな審査が行われるかというと、「ローン申込者には、数十年以上も住宅ローンを返済していく経済力があるのか」ということが調査されるわけです。
収入が安定している公務員や一流企業の会社員の方であれば、比較的ローンの審査が通りやすいです。
一方、比較的収入が安定していない場合が多い自営業者の方であれば、一般的にローンの審査が通りにくいといわれています。(もちろん、人それぞれですが。)
そして、この住宅ローンの審査が通れば売買契約の効力が発生し、通らなければ売買契約の効力は生じないことになります。
これがローン特約つき売買契約です。
住宅ローンの審査が通らなかったら・・・
住宅ローンの審査が通れば、売買契約の効力が生じることになりますが、住宅ローンの審査が通らなかったら、売買契約の効力は生じないことになります。
売買契約の効力が生じなければ、売買代金を支払う必要もなくなる以外に損は生じないとも思えます。
しかし、売買契約は住宅ローンの審査が通ることを条件にすでに締結されているので、契約書も作成されています。(売買契約は契約書を作らなくても効力を生じます(民法176条)が、不動産といった比較的高額のものを売買する場合は、契約書が作成されるのが通常です)。
176条(物権の設定および移転)
物権の設定および移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生ずる。
そして、売買契約書の作成には印紙税という税金がかかってきます。
聞いたことがある方も多いと思いますが、印紙税というのは、課税文書を作成するとかかってくる税金のことです。
不動産の売買契約書は課税文書に当たるので、売買契約書を作成する際に、売主と買主が共同で印紙税を支払うことになります。
そして、印紙税は、あくまで課税文書を作成することについて課税されるものなので、たとえ後で売買契約の効力が生じなくても、返金されることはありません。
つまり、住宅ローンが通らずに売買契約が効力を生じなければ、売主と買主はそれぞれ支払った印紙税分だけ損をすることになります。
印紙税の額はどのくらいか
それでは、印紙税の額はどれくらいなのでしょうか。
印紙税の金額は、売買契約書に記載された契約金額によって定められます。
不動産(土地・建物)の譲渡に関する契約書の場合、それぞれの契約金額に対する印紙税額は以下の通りです。
記載された契約金額 | 印紙税(1通または1枚につき) |
---|---|
1万円以上10万円以下 | 200円 |
10万円超50万円以下 | 400円 |
50万円超100万円以下 | 1,000円 |
100万円超500万円以下 | 2,000円 |
500万円超1,000万円以下 | 1万円 |
1,000万円超5,000万円以下 | 2万円 |
5,000万円超1億円以下 | 6万円 |
1億円超5億円以下 | 10万円 |
5億円超10億円以下 | 20万円 |
10億円超50億円以下 | 40万円 |
50億円超 | 60万円 |
ただし、平成26年4月1日〜平成30年3月31日の間に作成された契約書については、その契約書に記載されている契約書の作成年月日と契約金額に応じて、以下の通りの金額に印紙税額が軽減されています。
記載された契約金額 | 印紙税(1通または1枚につき) |
---|---|
1万円以上50万円以下 | 200円 |
50万円超100万円以下 | 500円 |
100万円超500万円以下 | 1,000円 |
500万円超1,000万円以下 | 5,000円 |
1,000万円超5,000万円以下 | 1万円 |
5,000万円超1億円以下 | 3万円 |
1億円超5億円以下 | 6万円 |
5億円超10億円以下 | 16万円 |
10億円超50億円以下 | 32万円 |
50億円超 | 48万円 |
※上記の表に記載された印紙税額については、国税庁の資料を参考にしています。
一般的な家庭であれば、新築住宅やマンションであれば3,000〜5,000万円の世帯が多いかと思います。
そして、原則として売買契約書は2枚作られます。売主と買主がそれぞれ保管しておくためです。
とすると、3,000〜5,000万円の不動産を売買する場合であれば、売主・買主それぞれが負担する印紙税の額は、2万円ということになりますね。
しかし、ローンが通らずにローン特約つき売買契約の効力が生じなければ、売主・買主それぞれが2万円分だけ損をすることになります。
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