競売で不動産を購入するということ
競売物件のリスク
不動産投資またはマイホームを購入するために、競売物件を手に入れることを考えている人もいると思います。
確かに、競売は同じ条件の不動産をより安く手に入れられる可能性がありますが、一方で手続が面倒だったり、幸い物件を手に入れることができても大きな瑕疵があり高額な費用がかかってしまう可能性もあります。
そこで、今回は競売物件を手に入れるメリットとデメリットについて書いていこうと思います。
メリット
相場より安値の不動産を手に入れることができる
競売は、物件の所有者が借金を弁済できなくなった結果、債権者の申立てにより強制的に不動産を売り払い、その代金を債権の弁済に充てるという手続です。競売手続は、多くの場合は抵当権の実行によって開始されます。
債権者が競売を申し立てる場合、債権者は早く弁済を受けたいと考えていることが多いので、不動産の売買契約と異なり、比較的安値で売り出されます。
そうとなれば、もしかしたら、相場より安値で掘り出し物件が見つかるかもしれません。
ただ一方で、最近は不動産価格の上昇(平成25年1月27日時点)や任意売却が行われることも多くなったため、低価格で掘り出し物件が見つかる可能性は低下してきています。ちなみに、任意売却とは、不動産会社が債権者と債務者との間の調整を行い、担保となっている物件を市場で売却するというものです。純粋に市場で流通している物件よりは若干安くなりますが、競売ほど低価格ではありません。
やり方次第では高利回りを実現できる
不動産投資家にとっては、高利回りを実現することが最も大きな関心事です。高利回りを実現するためには、不動産をなるべく安く手に入れる必要があります。 そうとなれば、競売で同じ条件の物件をより安く手に入れることができれば、その物件は利回りに大きく貢献するかもしれません。
また、競売物件に多少のリフォームが必要になったとしても、元々安く購入しているので、うまくリフォームすることができれば、希望価格または賃料で買い手または借り手がつくかもしれません。
さらに、投資金額を抑えることができれば、浮いた資金を別の物件に投資することもできます。
デメリット
落札後に引き渡されるまで内見することができない
もちろん物件を外から確認することはできますが、原則として物件を内覧することはできません。
そうとなれば、不動産競売物件情報(BIT)で公開されている資料の確認や、物件の外観の確認、聞き込み調査を行うなど、内覧以外の調査で補完されているのが実情です。
時間がかかる
競売物件情報が一般に公開されてからも、一定の入札期間を設ける必要があるので、通常の売買に比べて物件を手に入れるまでに時間がかかるというデメリットがあります。
ただ、競売物件情報はA4用紙で30ページ以上にも及びそれなりに調査に時間がかかることが多いことから、入札者にとっては、入札するかどうか、入札するとしても入札額をいくらにするのかについて、ある程度ゆっくり考えることもできるので、逆にそれがメリットでもあります。
物に瑕疵があっても泣き寝入り
競売に関しては、瑕疵担保責任の規定が適用されない(570条)ので、競売物件に物に関する瑕疵があっても元所有者に対して担保責任を追及することができません。
566条(地上権等がある場合における売主の担保責任)
1項 売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権または質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。
2項 前項の規定は、売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が存在しなかった場合およびその不動産について登記をした賃貸借があった場合について準用する。
3項 前二項の場合において、契約の解除または損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から一年以内にしなければならない。
570条
売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、566条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。
例えば、落札した物件の床下がシロアリによって食い荒らされていたようなことがあっても、元所有者に対して阻害賠償請求をすることはできません。この場合、買受人は、自らの費用でリフォームをするしかありません。
このように、競売の対象となっている物件が、外から見て分からないような重大な瑕疵を抱えている場合、予想以上に費用がかかってしまうこともあるので、慎重な判断が必要となります。
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